設備管理

設備管理とは

設備管理とは、ビル・病院・学校などの建物に設置されている設備の維持・点検・保守を行う仕事です。
主な業務は、設備の動作確認、劣化診断、必要に応じたメンテナンスや部品交換、清掃など多岐にわたります。

対応する設備は、以下のように幅広く存在します:

  • 電気・水道などのインフラ設備
  • エレベーター・エスカレーター・自動ドアなどの機械設備
  • 温度・湿度を管理する空調設備
  • ポンプ・貯水槽などの給排水設備
  • 火災報知器・避難器具などの防災設備

これらの設備管理が適切に行われていないと、建物の価値の低下や大規模修繕の必要性、さらには環境や利用者の健康への悪影響を及ぼすこともあります。
そのため、設備管理の最適化は、建物を健全な状態に保つだけでなく、企業としての社会的責任を果たす上でも重要な取り組みです。

施設管理と設備管理の違い

「施設管理(ビルマネジメント)」と「設備管理(ビルメンテナンス)」は混同されやすいですが、実際の業務範囲には大きな違いがあります。

  • 施設管理(ビルマネ)
    ビルの運営やテナント対応、利用ルール策定など、建物運営全般の管理を担います。
  • 設備管理(ビルメン)
    建物内の設備に関する点検・保守・修繕など、技術的な維持管理に特化しています。

一般的には、ビルオーナーが施設管理会社へ業務を委託し、さらに設備管理は別の専門会社が担当するという流れです。
設備管理職には、古い設備と新しい設備が混在する現場で、柔軟かつ的確に対応できる技術力と知識が求められます。

施設別・設備管理の主な業務内容

オフィスビル・商業施設

ビルの設備管理は、オフィスビルや商業ビルなどの不特定多数の人が利用する建物を管理する仕事です。
次のような箇所を点検を通して、ビルの利用者の「安心・安全な空間」を維持します。

  • 電気通信設備
  • 空調設備
  • 給排水設備
  • 消防用設備

工場

工場では、生産設備や機械の点検・修理を通じて、安全かつ安定した稼働を支えます。
機械の不具合は生産性の低下や企業の損失につながるだけでなく、取引先への影響も避けられません。
まさに“工場の命”である設備を守るため、日常的な管理と定期的な保全が欠かせません。

病院

命に関わる現場のため、電気・ガス・水道などの設備管理には特に慎重さが求められます。
入院患者の中には体力の弱い方も多く、トラブルがあれば命に関わるケースも。
そのため病院での設備管理には高いスキルが必要とされ、「どこでも通用する」と言われることもある重要な業務です。

ホテル

ホテルの設備管理はほかの施設と同じく、電気設備や空調設備、給排水衛生設備、消防設備などの点検や管理を行う仕事です。
基本的には、客室に宿泊者がいない時に作業を行います。
客室以外のレストランやバーなどの設備も管理しなければいけないところは、他の施設と異なります。
衛生管理や火災防止のための点検・管理を行う必要があります。

設備別・設備管理の主な業務内容

電気設備

照明やエレベーターなど、施設内のさまざまな場所で電力を安全・安定的に供給するための設備です。
使えることが当たり前の照明やコンセントなどの電気設備。この当たり前を守るため、点検と監視を行い、停電などのトラブルを未然に防いでいます。

主な業務:

  • 電気設備の法定点検(電気事業法)
  • 電気設備の運転監視
  • 電気設備の保守・点検

一言で電気設備と言っても、その種類はいくつかあります。電気設備の具体的な種類として、受変電設備、配電設備、動力設備、照明設備、通信設備、発電機設備の6つがあげられます。

空調設備

施設内や各部屋に空調設備が配置されていますが、冷暖房機が正常に作動するか、室内の湿度や温度は適切に保たれているかといったことを管理します。
設備の点検はもとより、外気温などの諸条件にあわせた無駄のない運転を行い、快適な環境を提供します。

主な業務:

  • 空調の運転、運用
  • 空調設備点検
  • フィルター洗浄、交換
  • 温湿度管理

空調と聞くと「エアコン」のイメージが強いかもしれませんが、建設における空調設備には、熱を生み出す「熱源設備」、配管やダクトで熱を運ぶ「熱搬送設備」、空気を調整する「空気調和設備」の3種類があります。

給排水衛生設備

施設内の水道やトイレなどの設備は、利用者が安全かつ衛生的に使用できるよう、法定検査だけでなく、定期的な保守点検が必要です。これにより、給排水機能を良好に保ち、快適な環境を提供します。

主な業務:

  • 水質検査
  • 水槽清掃
  • ポンプ点検
  • 施設内の水回りのトラブル対応

給水設備

給水設備は、建物内に水を供給するシステムで、以下の部分で構成されています:

  • 給水管:上水道から建物内に水を引き込む管
  • 給水ポンプ:水を適切な圧力で通す設備
  • 給湯設備:お湯を供給するための設備

排水設備

排水設備は、生活排水や汚水を適切に処理し、下水道などに排出するためのシステムです。

  • 排水管:生活排水を下水道へ排出するための管
  • 排水槽:生活排水と汚水を分けて溜める設備
  • 浄化槽:公共下水道以外に排出するための処理設備

衛生設備

衛生設備は、給水や排水を含む施設の衛生管理を目的とする設備全般を指します。
これには、ガス設備や消火設備、水の再利用設備なども含まれ、健康的な生活を支えるために重要な役割を果たします。公共施設や商業施設、オフィス、学校など、さまざまな建物で必要不可欠な設備です。

防災設備

防災設備は、火災報知器、消火器、非常用発電機など、万が一の際に安全を確保するための重要な設備です。これらの設備が正しく機能するよう、適切な点検と保守を行います。

主な業務:

  • 防災設備の法定点検
  • 防火対象物点検
  • 消防設備の点検および維持管理

防災設備の種類

防災設備は、大きく以下のカテゴリに分けられます:

  • 消火設備
    消火器、屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、スプリンクラー設備など
  • 警報設備
    自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、非常警報器具など
  • 避難設備
    避難はしご、救助袋、誘導灯、誘導標識、非常用照明など
  • 消防活動用設備
    連結送水管、消防用水、非常コンセント設備、無線通信補助設備、非常用エレベーターなど

防火設備

防火設備は火災を遮断する役割を果たします。具体的には、防火シャッター防火扉防火ダンパなどがあり、これらの設備は周囲の火災を20分間以上遮断することが求められています。また、特定の防火区画には、1時間以上の遮炎性能を持つ防火設備の設置が義務付けられています。

機械設備

機械設備には、エレベーターやエスカレーター、さらには自動ドアなど、日常的に使用される設備が含まれます。これらの設備が常に正常に作動するよう、定期的な管理と点検を行います。また、必要に応じて、メーカーに依頼して定期メンテナンスの手配をすることも設備管理業務の一環です。

ボイラー

大型施設には多くのボイラーが設置されています。ボイラーは施設内のさまざまな機器を作動させるため、ボイラーの操作や点検には専門的な知識が必要です。そのため、ボイラーに関する確かな知識を持つ有資格者でないと、適切な操作や点検を行うことができません。

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